有栖川有栖さん著『月光ゲーム』を読了しました!
最近、会社の方から「有栖川有栖、面白いよ!」と熱烈なプッシュを受けまして。「火村シリーズ」を昔読んだ記憶がうっすらあるのですが、内容はすっかり忘却の彼方というほぼ初見。せっかくなら原点から攻めよう!ということで、デビュー作である『月光ゲーム―Yの悲劇88―』を手に取ってみました。
怒涛の展開!キャンプ場が「陸の孤島」に変わる瞬間
物語の舞台は、英都大学推理小説研究会(通称:EMC)の面々が訪れた、矢吹山のキャンプ場。私自身、キャンプが好きなので親近感を持ちながら読み始めたのですが……。
• 山の噴火という天災によるパニック
• 逃げ場を失ったクローズドサークル
• その極限状態で発生する連続殺人
この組み合わせ、役満で言えば「四槓子(スーカンツ)」くらいの確率を引いていませんか?(笑)
この「次は何が起こるんだ!?」という焦燥感と緊張感が凄まじく、一気読みしたくなります。物語も引きも良いですし人物たちも魅力的なのも高ポインツです!
個人的評価:★★★★☆(4.0)
■本作品の魅力
私はなんだかんだで登場キャラを好きになるかにけっこう評価を左右するのですが、本作の登場人物が癖が強い! 最初は登場人物が多いし、みんなあだ名で呼び合ってて誰が誰だか分からず、見返しの人物紹介と本文を何度も往復することになりました(笑)。
特に印象的だったメンバーを少しだけご紹介します!
• 有栖川有栖(アリス):著者と同名の主人公。一般常識枠で、読者の視点に近い存在。良くも悪くも人間味があって良いです。
• モチさん:エラリアン(エラリー・クイーン好き)な先輩。
• 信長:ハードボイルド好き、織田なので渾名が信長!
• 江神さん:本作の探偵役。個人的偏見ですが、探偵役って「奇人変人」のイメージが強かったのですが、江神さんはリーダーシップがあり、周囲を気遣える優しさも持っており、赤死館殺人事件なんて大編小説を製作中というお茶目な一面も含めて、一気に好きになりました。
その他でお気に入りキャラは「月に狂う(ルナティック)」なルナさん、奇人枠を抑えてくれていて良きでしたw
【ネタバレあり】ここが気になった!というか、もやもや・・・
※ここからは内容に触れるので、未読の方はご注意ください。(伏せ字にしています。)
■犯行の動機と推理のスタイル
犯人の動機については「分からなくはないけれど……」という複雑な心境もありましたが、面白かったのはその推理プロセスです。
ド派手な密室トリックを暴くというよりは、「この物証から考えて、これを実行する必要があるのは誰か?」と、消去法で追い詰めていくスタイル。これが逆にリアルで新鮮でした。
■理代さんのラストは…
理代さんのミスリードには見事に「おーっ!」と乗せられたのですが、最後に「彼氏いるんかい!」と心の中でツッコんでしまいました。有栖川さんに感情移入していたのもあってビックリw 江神さん、一体いつから気づいていたんでしょうね?(笑)
本作品は、終盤に「読者への挑戦状」が挿入されている新本格ミステリです。全てのヒントは提示されているので、そこで一度手を止めて、自分なりに犯人を推理してみるのが楽しいです。私は推理らしい推理できなかったですが…
登場人物がそこそこ多く、さらにあだ名で呼び合っていたりするので、ぜひ見返しの人物紹介を見返しながらお楽しみください。
有栖川有栖さんのデビュー作、期待以上に読みやすくて大満足の読書体験でした!
「有栖川作品、たくさんありすぎて何から読めばいいかわからない……」と迷っている方がいたら、ぜひこの『月光ゲーム』から始めてみてはいかがでしょうか?
